空き家の固定資産税はいくら?「6倍になる」の本当の条件を、山口で空き家を直して貸している大家が条文で確認しました
こんなお悩み、ありませんか。
- 親の家が空き家になってから、毎年届く税金の紙を見るたびに、なんとなく不安になる
- 「空き家にしておくと税金が6倍になる」と人から聞いて、あわてている
- 本当はいくらかかるのか、誰に聞けばいいのか分からない。難しい説明は苦手
一つでも当てはまるなら、この記事はあなたのために書きました。
読み終わるころには、次の3つが分かります。
- 空き家の税金は、住んでいたときと同じ計算で、急に上がるものではないこと
- 「6倍」と言われる話の本当の中身と、上がるとしたらどんなときか
- 壊すと税金が下がる、とは限らないこと
難しい言葉は使いません。ゆっくり読んでみてください。

はじめまして。株式会社Glennの、しらかわだいき です。
山口県で、空き家や古くなったアパートを買い取って、壊さずに直して、次に住む人へ貸しています。
2026年9月の時点で15戸を持ち、14戸に入居していただいています。古い戸建てを3軒、自分たちで直して貸してきました。
この仕事をしていると、空き家をお持ちの方から、同じ2つの質問を何度も受けます。
「空き家の税金って、いくらかかるんですか?」
そして、こちらです。
「空き家を放置すると、固定資産税が6倍になるんでしょう?」
不安になって、あわてて解体の見積もりを取った方もいらっしゃいます。
ただ、この説明は正確ではありません。
法律の条文と国の資料をそのまま読むと、倍率も、そうなる条件も、世の中で言われているものとは違います。
この記事は、僕が条文と国の公表資料だけを根拠にして、実際のところを整理したものです。落ち着いて次の判断をするための材料として、お使いください。
この記事でわかること
- 空き家の固定資産税がいくらか、計算のしくみ(評価額×1.4%)
- 「6倍」という数字は、税額の倍率ではないこと
- 税金が上がる引き金は「空き家になること」ではなく「勧告」であること
- 上がるとしても、上限で約4.2倍。しかも段階的であること
結論:6倍ではなく、上限まで上がっても約4.2倍です

先に、世の中で言われていることと、条文に書いてあることを並べます。
| よく言われていること | 条文に書いてあること |
|---|---|
| 空き家になると税金が6倍になる | 空き家になっただけでは変わらない。特例が外れるのは市町村から勧告を受けたとき |
| 税額が6倍になる | 6倍になるのは「課税のもとになる金額」の話。税額は上限でも約4.2倍(200㎡を超える部分は約2.1倍) |
| ある日いきなり上がる | 助言・指導→勧告と順番が決まっている。上がるときも段階的 |
順番に、条文で確認していきます。
まず、空き家の固定資産税はいくらか(計算のしくみ)

固定資産税は、土地と建物のそれぞれに、市町村が決めた「評価額」をもとにかかります。
| 何に | 計算 | 備考 |
|---|---|---|
| 土地 | 課税標準額 × 1.4%(原則) | 住宅が建っていれば、課税標準額は評価額の6分の1(200㎡以下)または3分の1 |
| 建物 | 評価額 × 1.4%(原則) | 古い家は評価額が下がり続けるため、建物の税は小さくなっていることが多い |
| 都市計画税 | 課税標準額 × 最大0.3% | 都市計画区域の中だけ。住宅用地は3分の1・3分の2の軽減 |
つまり、空き家だからといって特別な税金がかかるわけではありません。住んでいたときと同じ計算です。
ご自分の家の実額は、毎年4〜6月ごろに届く納税通知書の「課税明細書」に、土地と建物それぞれの評価額と税額が書いてあります。ここに書かれている金額が、今の税金です。
では、なぜ「6倍」と言われるのか。ここからが本題です。
「6倍」という数字は、どこから来たのか

出どころは、住宅用地特例という仕組みです。
人が住むための建物が建っている土地は、税金が軽くなるように決められています。
地方税法第349条の3の2に、こう書かれています。
| 土地の区分 | 課税のもとになる金額 |
|---|---|
| 小規模住宅用地 (200平方メートル以下の部分) |
価格の 6分の1 |
| 一般の住宅用地 (200平方メートルを超える部分) |
価格の 3分の1 |
つまり、200平方メートルまでの部分は、本来の6分の1の金額をもとに税金が計算されている、ということです。
この「6分の1」が外れると、もとの6倍の金額をもとに計算することになる。
これが「6倍になる」と言われている理由です。
ただし、ここには続きがあります。
特例が外れるのは「勧告」を受けたときです

同じ条文には、特例の対象から外れる土地が書かれています。外れるのは、次の2つです。
- 空家法第13条第2項により、所有者に対して勧告がされた「管理不全空家等」の敷地
- 空家法第22条第2項により、所有者に対して勧告がされた「特定空家等」の敷地
どちらにも「勧告がされた」と書かれています。ここが、いちばん誤解されている部分です。
空き家になっただけでは、特例は外れません。「特定空家に指定されたら外れる」という説明も見かけますが、条文が求めているのは指定ではなく、その先の勧告です。
そして、市町村がある日いきなり勧告を出すことはありません。法律で順番が決まっています。
特定空家等の場合(空家法第22条)
- 助言または指導まず、役所から連絡が来ます
- 勧告ここで初めて、住宅用地特例が外れます
- 命令正当な理由なく勧告に従わないとき
- 行政代執行命令にも従わないとき
管理不全空家等の場合(空家法第13条)
- 指導まず、役所から連絡が来ます
- 勧告改善されず、放置すれば特定空家になるおそれが大きいと認めるとき
出典:空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov法令検索
つまり、税金が上がる前に、その前に、市役所や町役場から連絡が来る仕組みになっています。
助言や指導の段階で草を刈る、窓を直す、といった対応をすれば、勧告には進みません。
役所からの封筒を開けずに置いておくことが、いちばん危ない。そこだけは、はっきり申し上げておきます。
お持ちの家をこれからどうするか、迷っていませんか。
売る・貸す・壊す、どれが向いているかだけでも、お話しできます。無理に決めていただくことはしません。
では、実際は何倍になるのか。計算してみました

ここからが、「6倍」と言われている部分の、本当の中身です。
住宅用地特例が外れた土地は、住宅用地以外の宅地(商業地等)として扱われます。そして、この商業地等の課税のもとになる金額には、上限が決められています。
総務省の資料には、こう書かれています。
商業地等の宅地の課税標準額は、評価額×70%と〔A〕のいずれか低い方。
評価額の100%ではなく、70%が上限だということです。ここから計算できます。
200平方メートル以下の部分
÷
16.7%特例あり(6分の1)
=
約4.2倍
200平方メートルを超える部分
÷
33.3%特例あり(3分の1)
=
約2.1倍
6倍ではありません。広い敷地の場合は、2倍程度にしかならない部分もあります。
しかも、いきなりその額にはなりません。負担調整措置という仕組みがあり、総務省の資料には、負担水準の低い土地は「なだらかに税負担を上昇させる」と書かれています。急に何倍にもなるのではなく、段階的に上がっていきます。
| あわせて知っておくこと | 中身 |
|---|---|
| 固定資産税の税率 | 原則 1.4%(市町村が条例で変えることもできます) |
| 都市計画税 | かかる地域では、こちらの特例も一緒に外れます。ただし、もともとの軽減幅が小さい(200㎡以下は3分の1・超は3分の2)ので、影響は固定資産税ほど大きくありません |
出典:固定資産税|総務省/地方税法(抄)第702条の3|国土交通省
空き家の固定資産税は、誰が払うのか

固定資産税は、その年の1月1日時点の所有者にかかります。
| 状況 | 誰が払うか |
|---|---|
| 親が亡くなり、まだ名義を変えていない | 相続人が払います。名義を変えていなくても、納税通知書は相続人の代表者に届きます |
| 兄弟で共有している | 共有者全員が連帯して払う義務があります。代表者に通知が届き、内部でどう分けるかは話し合いです |
| 相続放棄をした | 放棄が認められれば、その人には課税されません。ただし放棄には期限(3か月)と条件があります |
壊して更地にすると、税金は下がるのか

ここは、多くの方が逆に考えています。
住宅用地の特例は「人が住むための建物が建っている土地」に適用されます。建物を壊して更地にすると、この特例は外れます。つまり、壊したから税金が下がる、ということにはなりません。土地の税は、むしろ上がる方向です。
ですから、壊すかどうかを決める前に、家のある市町村の資産税課に「壊した後、土地の税はいくらになりますか」と聞いてください。窓口で、今の課税明細書を見せれば、その場で概算を教えてもらえます。
解体費用の相場と、壊す前に確かめることは、別の記事にまとめています。
ご自分の土地がいくらになるかは、市町村に聞くのが確実です

ここまで倍率の話をしてきましたが、実際の金額は土地の評価額によって変わります。評価額は、場所によってまったく違います。
正確な金額を知りたい場合は、家のある市町村の資産税課(固定資産税を担当する窓口)にお尋ねください。
| 電話の前に用意するもの | なぜ |
|---|---|
| 納税通知書に同封の課税明細書 | 土地の所在と評価額が書いてあるので、話が早く進みます |
| 役所から届いた封筒があれば、その中身 | 助言・指導・勧告のどの段階かがわかります |
山口県は、5軒に1軒近くが空き家です

山口県の公表資料によると、県内の空き家は140,700戸あります。
(平成30年は17.6%)
出典:山口県の空き家率|山口県
5軒に1軒近くが空き家、という計算になります。ご自分だけが困っているわけではありません。
放置以外の道は、3つあります

税金の話が落ち着いたら、次はどうするかです。大きく分けると3つです。
| 道 | 良いところ | 気をつけること |
|---|---|---|
| 1. 壊す | 傷んで人に迷惑をかける心配がなくなる | 解体費用がかかる。建物がなくなると住宅用地特例も外れるので、壊したから税金が下がる、とはならない |
| 2. 直して、貸す | 人が住めば建物は傷みにくい。住宅用地特例も続く | 修繕費と、貸したあとの管理の手間がかかる |
| 3. 手放す | 管理からも税金からも離れられる | 傷んだ家や田舎の家は、買い手が見つからないことがある |
僕たちがやっているのは、2と3を組み合わせた形です。お持ちの家を僕たちが引き取り、僕たちが直して、次の人に貸します。
僕が、空き家を壊さずに直して貸している理由

ここからは、少しだけ僕の話をさせてください。
空き家は、持っている方にとって、困りごとです。税金がかかり、草が伸び、役所から封筒が届く。遠くに住んでいれば、なおさらです。
でも、その家には、誰かが暮らした時間があります。
僕がその家を引き取って直すと、まず、持ち主の困りごとがなくなります。
次に、その家に新しい人が住みます。親御さんが建てた家、おじいちゃんおばあちゃんが暮らした家が、壊されずに、次の家族の暮らしの場所になります。思い出が、次の人に受け継がれていく。僕はこれを「思い出のバトン」と呼んでいます。
そして、その家から毎月の家賃をいただくことで、僕は妻と息子にご飯を食べさせていくことができます。
持ち主の困りごとが解決して、家が次の人に渡って、僕の家族が長く安心して暮らせる。この3つが一度に叶うのが、空き家を直して貸すという仕事です。
だから僕は、この賃貸業を、これからもっと増やしていきたいと思っています。
僕たちの今(2026年9月時点)
壊すしかないと言われそうな家でも、直して貸せることがあります。逆に、見せていただいた上で「僕たちでは引き取れません」とお伝えすることもあります。そのときは、理由も正直にお話しします。
ご相談について
その空き家、壊す前に一度だけ、写真を見せてもらえませんか。
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正直にお返事します
- 僕たち自身が引き取り、自分たちで直して使います。転売が目的ではありません。
- 残置物(家の中の荷物)は、そのままで大丈夫です。片付けは僕たちがやります。
- 引き取れないときは、その理由も正直にお伝えします。
- 無理に決めていただくことはしません。「写真を見せるだけ」でも大丈夫です。
相談は無料です。送っていただいた写真やご相談の内容を、ご本人の許可なく公開することはありません。
山口県内であれば対応します。岩国市・柳井市・周南市のあたりは、すぐに見に行けます。
株式会社Glenn 不動産賃貸事業 / 空き家の相談室(記事一覧)
この記事の参考資料
- 地方税法(抄)|国土交通省(第349条の3の2、第702条の3)
- 空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov法令検索(第13条、第22条)
- 固定資産税の概要(土地に係る負担調整措置)|総務省
- 固定資産税|総務省
- 空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報|国土交通省
- 山口県の空き家率|山口県
